【散文気分】 - 2020/5/26 Tue -

谷川には予め算段があり、今日の”お開き”を午後の3時頃と想定していた。 もちろん、そんなことは谷川の本位ではなかったのだが、そんな風に想定しておくことは彼にとってとても重要な事柄でもあった。

そんなたこ焼き屋を出たのがまさしく午後の3時頃であったのだが、彼らの会話は歩きながらも尽きなかった。 商店街を少し寂れた方向へわざわざ回りながら、特に目的もないのにゆっくりと歩いて回っていた。 ロココ調のバレエ教室に どこか不思議な雰囲気の漂う八百屋、正面よりも主に裏口から客の出入りする中華定食屋などを適当に眺めながら歩いて行った。 しかし小さな界隈なのだ。 割とすぐに駅前まで戻ってしまう。 そんな商店街についての、谷川の知る限りをどんなに言葉で埋め尽くしていても。 そんな自分たちの様子に対してを苦笑しながらも、別れ際を惜しむ若いカップルのように連想せざるを得なかったが、彼はもっと細密に娘の反応を見極めねばならない立場にある。

『しかし…』 とも彼は考えていた。 そんなのはもう、随分と【昔の自分】のことなのだ。
風の吹くまま、気の向くまま。 いつの頃からか あたかも寅さんからの”受け売り”のように振舞うのが、彼には不思議にしっくりといっている。 それを【今】について当てはめるのなら、まずは娘の意のままへ委ねればいい。 そして事が動かないのであれば、次に風の吹くままに従えばいい。 今では ただそれだけのことなのだ。

 『パパぁ。 ちょっと洗足池の辺りを散歩してみようよ』

駅前ロータリーで娘を待たせていたトイレから戻ると、唐突にそう言われた谷川は少し考えた。 そして娘を導きながら東急・大井町線の改札口へ向かい始めたのだが、彼の娘はどうやら本気であったのらしい。 そんな谷川を制して、そこからならば歩いてもそんなには遠くないハズだと言い、地図を探して周辺をいそいそと歩き始めた。

広域避難場所などが明確に記されているその地図板によると、目的地は確かに そう遠くではないことが感じてとれた。 そしてどの経路で向かうのかを検討した。 そういった段階になると、さすがに谷川の方が地図を読む力と直観と判断力では勝っていたのだ。 あくまでも地図は平面であり、地形的な事柄… 例えば起伏のことまでは判らない。 彼が山で言うところの”尾根筋”ではなく”谷筋”をえらんだのは、下り坂と日陰を好んでのことだった。 その日の午後は初夏というよりは真夏の入り口を思わせるような陽気だった。 地図を離れてからはまた それまで通りの、彼らのペースにたち戻り、のんびりと歩き始めていた。

 《続く…》

12.May.2020 大田区・洗足   当日に撮った唯一の。 (※中原街道・越し)

前職(倉庫・物流担当)の頃に飲んで帰った晩に。

 『ちょっとお客さん、電車終わってますよ。 出て下さい。』

…と 後から声を掛けられたことがありました。
ホーム端で突っ立ったまま寝てたんです。 改札を出たらすぐ環八で。 やっぱ駅前の写真も撮っといて。
もはや あきらめ気分で”すき家”して。 環八でタクシー拾って五反田の職場まで舞い戻りますただ。

東急・多摩川線の矢口渡って駅だったんすがね。
終点じゃないし、ハマを目指しているにもかかわらず、田園調布から面倒な乗り換え路線の途中駅。
一体なんで【そこ】に立ってたのかが いまだに謎ですだ。

何か(誰か?)の お導きとでも解釈しておこうかと。 ほいでもって 駅員さんに救われたのかと。

- - * - - * - - * - - * - - * - - * - - * - - * - - * - - * - - * - - * - - * - - * - - * - -

(本文の)この日。 ↑ の写真を撮りながら、そんな出来事を思い出しておりました。
そう話し聞かせれば、カラカラと ただ笑ってましただょ。

   『 うっそー! 線路に落ちたりとかじゃなくて 良かったね (汗 』

…とかじゃなくて (汗

← Prev Index Calendar  Next ⇒