【散文気分】 - 2019/6/30 Sun -

勤務明け土曜の朝。
昨夜遅くのような豪雨ではないが、それでも傘をさすタイミングが少し遅れれば高密度の霧雨にじっとりと服を濡らされてしまう。 そんな朝に帰宅してから着替えて出掛けたのには理由がある。 家に居たくなかったからだ。 来訪予定が2件あったが1件はウェルカムだった。 少し取り計らえばそちらを受けてからという方法をとれなくもなかった。 しかしもう1件には立ち会いたくなかった。 『立ち会い』と言ったのは家人と一緒に出迎える予定だったからであり、自分一人で対応する必然はなかった。 しかし主体的に対応する必要も暗に迫られていた。 厄介な役回りを任されていたようなものだ。 そうした物事を億劫に感じて雨の中を出掛けてきただけのことだった。

歩き出してから10分ほどすると中規模の河川に出る。雨降りだがさほど増水はしていない。既に稲作も始まっているこの時期では少し上流の農業堰から取水されていて、その水量はむしろ少ないくらいだろうか。 水の濁りもそれほどには感じられない。子供の頃に比べると川床が掘削されて下がり、護岸の川幅も広がって広々と感じられる。 それまでには普通に見られていたような、増水を繰り返すごとに変化してゆく中洲や岸辺などといった地形は今や形成されることも少なくなり、平板でのっぺりとした川面だ。

晴れた休日ならばまるでバズーカ砲のような望遠レンズを装着したカメラに三脚を備えて担ぎ歩く人たちが見られることも、そう珍しくはない。 彼らの贔屓はカワセミであり多い時には10名近くの集団が、私ごときなどはあずかり知らない何かの成り行きで形成されている。 カワセミはカワセミの都合で飛び立ち、数十メートルから100数十メートル程度を移動してまた岸辺にとまる。 そんな習性を知らない者ならば飛び立った段階であきらめるところなのだろうが、彼らはバズーカ砲を担ぎ歩いてアイドルを追って行く。

そうしたムーブメントを背中に感じながらもフェンスに肘を着き、独りで眼前のコチドリを観察したりするのが私は好きだ。 特別にコチドリ贔屓なワケでもない。 カワウやイソヒヨドリだって構わない。 水面を波立たせるボラの稚魚の群れもいい。 野に生きるものたちならば何でもいいのだ。 もちろんカワセミだって例外なんかじゃない。 こんな風に川辺でのんびりと過ごしていてすぐ目の前にとまることも稀にある。 すると既に説明した通りに、あたかも約束されていたかのように彼らがやって来て、自分独りの時間は脆くも中断してしまうのだ。

そんな川を渡るとかつての氾濫では(※古い記録には「暴れ川」と記されているらしい)水に浸かっていたのであろう、細々とした農地を抜けて住宅街の坂道を上がる。 この辺りは子供の頃にまだ聞き慣れない地区名の比較的に新しい住宅地であり、今でも耕され続けている小さな畑が宅地の中にぽつりぽつりと残っている。 先の見通しはもちろん全て宅地化なのだろう。 続けてゆく理由の方が先に折れてしまうのだ。 人の営みとは基本的にその寿命に負うところが大きい。 その後世には後世なりの生きる時代というものもある。 先人たちもまたそれらを感じて大事に土地を耕してきたように。

特別に急な坂道ではないがそこそこな長さがあり、住宅街にはありがちな横道に出るとひと息つける。 そんな坂道も終盤に差し掛かる辺りで、雨に濡れてぐったりとしたベージュ色のストッキングが落ちて… 路面に貼り付いていた。 真横の小規模なマンションの物干しから落ちたのかもしれないが、車に踏まれないように脇へ避けておく機転までは利かなかった。 私ならば(使用することはないが)必要随時にコンビニで買うかネットで安いのをストックしておけば済むと考える。 その方が紛失による捜索や回収活動よりも楽だからだ。 そんな風に考えていて、いま自分がいかに混乱しているのかがよく判る。 回収活動とか。 そう、【こんなもの】は道端に飛ばさないで欲しいのだ。 他人の落とし物から妙にストレスを感じることがある。

N大・生物資源科学部と付属小中高等部の中を通り過ぎると小田急・江ノ島線の踏切に出る。 霧雨はしぶとく降り続き時々雨粒が大きくなることさえある。 小田急では先週に厚木の先で大きな事故に見舞われたばかりだが、復旧がとても迅速(翌・始発からロマンスカーを除いて通常ダイヤ)なので驚いていた。 車両はいかなる場合でも踏切内で停止するべきではないのだなと改めて感じる事故だった。 何十年も前に教習所で習ったことでもあるが、当時は全くもって真剣身に欠けていた。 当の加害者が民事訴訟で賠償責任を負ったならば、対向側の遮断機破損程度で済んでいたケースをとんでもない賠償額(恐らくは億単位)に膨らませてしまったのだろう。

子供らや職場の利用者さん方が今でも『クリーム電車』などと呼び親しんでいるのは、もはや一つの形式を残すだけで他は既に引退している。 唯一残るその電車のデヴュー当時は高校生だった。 ただ、そんなのを耳にする度に思うのは、以前はクリームと感じるよりもむしろ白に近かった…ということだ。 一体8000形はいつからクリームと言われて差し支えない塗装色に様変わりしていたのだろう。 来たる引退後には『クリーム電車』、『銀色電車』といった呼び分けも聞かれなくなるのだろうか。 他社ではアルミ車体の全塗装を実現している例もあるのだが、塗装を維持してゆくことの難しさを垣間見てきてしまった以上、多くを望む気持ちにもなれない。 まあいいこともある。 白い画用紙に白い電車(クリーム電車)を描いて塗りつぶすよりも、銀色電車の方が楽な気はする。 同時に、「なんで電車を塗らないの?」、『だって小田急だから』 …という言い訳(手抜き)も通用しなくなるのだが。

踏切を越えて真っすぐに5分ほど歩けば国道に出るのだが、脇道を行き造園業の敷地と農地端をかすめて歩く。 キャベツ畑は収穫も終わり、既に何度か耕されていて真っ平らな状態だ。 この辺りはキャベツの産地で専門ならばどこも年2回の春と秋の収穫で営まれている。 他の作物と組み合わせているところもあるが、そんな場合には珍重?される春に力を入れているようだ。 春物の作付けは12月頃だが夏とは違い成長がゆっくりなのが特徴だろう。 傍目に見ていても、間に合うんだろうか?ちゃんと出荷できる程に成長できるのか?などと要らぬ心配をしてしまう。

少し膨らんだ経路をのんびりとたどった結果、踏切から10分弱で国道に出る。 T字の交差点を信号待ちしていると次々に大型のコンテナ・トレーラーが国道に流れ込んで来たり、逆に国道から抜け出て行ったりする。 R467とR1(通称:一国)のバイパスなのだ。 そんなR467は江ノ島街道とか藤沢街道などと呼び親しまれているようだ。 要するに地元の身として言わせてもらうのならば、子供の頃から(もちろん今でも)町田線と呼んでいる。 恐らくそうした呼称とは向かう先から拝借するのが順当なのだろう。

国道を横断してから国道沿いに… 藤沢街道と呼ぶに相応しい方向へ進み、立ち寄ろうかと迷ったコンビニと用事は無いガソリンスタンドを過ぎればJAの運営する市場がある。 あるにはあるのだが土日祭日はいつも混雑している。 平日でさえ午前中の早い時間帯ではそこそこな集客がある。 つまり年がら年中混んでいる印象を持っている。 しかし雨ならば、と思い至ったのが足を進めたキッカケだったのだ。 客のほとんどが車で来店していることを何故か意識の中に取り込んでいなかったのだ。 痛恨というよりも、ただ単に週末の夜勤明けでぼおっとしていたのかもしれない。 そもそも家に居るのが嫌だから出て来たのに過ぎなかったのだ。 時刻は午前11時になろうとしていた。 感じていたよりも長く歩いていた。 それは距離ではなくペースがゆっくりだったのだろう。

当初の襲撃地点を目の前にしておきながらも衝動的に飛び込んだのは某・うどん屋チェーン店だった。 昼食にはやや早い時間帯だが少し休みたい気分でもあった。 実のところ近頃ではあまりしっかりとした昼食はとっていない。 パンとかおにぎりのような済ませ方をしている。 水分だけとって食べないこともある。 仕事がら昼間には行動していないことと、今の職に就いてから2年と少しで体重が10キロ以上も増えていることを懸念している。 しかし理由は明らかであり、単なる運動不足なのだ。 今の運動量に相応しいカロリー接種量を超え過ぎているのだ。 あとはそれらに付随して年齢のことも考えられる。 燃焼や代謝しづらい身体になって来ているのかもしれない。 色々と考えられる事はあるがかつてあった…少なくとも2〜3年前までにはあったはずのバランスが崩れていることは確かなのだろう。 こんな境遇を意識してしまった時、いきなりジョギングを始めるのは気が進まない。 走るのは好きだがそういう走り方だけは嫌だし、そもそも続くわけがない。 ならば答えは簡単で自分の好きな走り方をすればいいのだ。 気ままな散歩気分で走る、ジョグ散歩の再開を考えればいい。

そんな思案ごとをしながら既に注文して飲み食いし始めていたのはポテトサラダ100円と理由は不明ながら『パンチ』なる名称のモツ煮込み(小)200円に冷酒330円だった。 『パンチ』には七味を多めに振りかけていた。 モツは臭みが抜け切っていて食感の上品さとともにやや物足りなさを感じてはいたが、ここはうどん屋チェーン店なのだ。 充分に過ぎる内容だと思い直す。 メニュー表では冷酒とあるが注文の際に常温があるかを尋ねれば、『ございます』という回答だったのでお願いした。 しかしそれが運ばれて来た時に『あいにく常温はこれ一本だけで、あとは冷えたのしかありませんので…』などと困り笑顔で丁重に付け加えられていた。 そんなに長々と何本も空けつつ居座り続ける輩だと感じられている… のかどうかは不明だが、あとはうどんを食べてから出ようと思っていたのだ。

もちろん店内は空いていたがドライバーに交じって時々年配の夫婦連れが来店する。 どうやらJAの市場から流れてきているようだ。 遅い朝食か早めの昼食、正真正銘ブランチかもしれない。 常温の冷酒(※それを普通は「冷や」と呼ぶ)をちびちびヤリながら窓の外に目をやればJAの市場を目指す駐車場の空き待ち行列が続いている。 たまにクラクションを鳴らしたり、急発進して低速ギアのまま轟音とともに藤沢方面へ抜け出していく車もある。 駐車場整理の人員は国道沿いにT字交差点付近まで出張っているが充分に対応し切れてはいないようだった。 片側一車線の主要幹線道路をこれだけ混乱させているにも関わらずお咎め無しなのはきっと何か理由があるのだろう。 割と緊急車両の通行が多い区域なのだ。

うどん屋チェ−ン店なのでうどんメニューの頁を開くが『かけ』は見当たらなかった。 なので『たぬきうどん』280円を追加注文する。 念のため尋ねてみたがやはり『かけ』はなかった。 とっさに『たぬきうどん』の『たぬきぬき』にしてもらおうかとも迷ったが、それも馬鹿馬鹿しいのでやめにした。 蕎麦屋で飲みながら鴨南蛮そばの【抜き】を注文するようにはいかないのが、このうどんチェーンでのたしなみなのだと収める。

そんなこの店でうどんを注文したのは… 意外に初めてだったのかもしれない。 ひとすすりで『…面白いうどんだな』と思ったからだ。 特に珍しいうどんではないがまさかお店で出されるとは想像していなかった。 スーパーで茹で麺玉を買ってきて普通にざっと作って食べているのと同じ味だった。 こういうのも『ご家庭の味』と呼ぶんだろうか。 四国の山中で田んぼに面して建てられし小屋。 そこで日々うどんを食べ続けてきた人たちにコレを食べさせたとしたら、きっと口を揃えて言うことだろう。   『こんなのうどんじゃない』 (※方言は分からず)
食堂を意識した事業展開も始めているようなのだし、そろそろ看板から『うどん』を外してもよい頃合いかとも思うのだが。 明らかに混乱の元になっているようなので。 少し片棒を担ぐつもりで言うならば【ちょい飲み】にはとても手頃なお店なのだ。 もちろんまた行こうと思っている。 昼の少し前に会計し千円札一枚でお釣りが来た。 霧雨は依然として降り続いている。











28.Jun.2019 藤沢市・職場近くの農地にて

ミソハギです。 小指の先ほどの ちっちゃい花ですが、茎にワラワラといっぱい咲き乱れます。

子供の頃にこんな感じの棒つきキャンディーをちゅばちゅばしておったのですが、一度も最後まで舐め切った記憶がありませぬ。 たしか【アメリカ原産で何十種類】もあり、この【キャンディーを模したディスプレイ】に柄を突き刺した状態で売られていて、 それも【レジの真横】とかが多かった気がしてて。 必然、母親にねだる構図となりましょうか。 思うツボですな。

25.Jun.2019 藤沢市・引地川親水公園 南の端っこにて

河津桜の木の葉っぱで休む オオシオカラトンボです。 普通のシオカラとはちょいと違います。

後方に ぼやぁ〜っと写ってますが、ちょうど合歓(ネム)の花が満開でした。
概ね6月の半ば頃から7月の初め頃までが花の時季でしょうか。 まあ北方へ向かうほど開花は遅くなりまして、 岩手や秋田県あたりでは夏休みのド真ん中(お盆)が見頃です。よく高速道路の脇とかに植えられていたりもします。

P.S.

5月の連休中にCanonの比較的お手頃な、それも極めて無難な機種を入手しておりました。

とても快適でありまする。 いわゆる ストレス・フリー とかいう類かと。 憧れてきたAEだし。
…と、マニュアル世代の残党が言う。 さぁ、スマフォがこの手の光学ズームに追いつけるものやら。

カメラでイキますだ。 携帯なんて家に置いたまま出掛けちゃいましょう。

P.S.2

だからと言って。 何も【携帯でカワセミを激写】することを断念したワケぢゃありませぬ。

これまでにも機会は何度かありましただ。 ・・・己が抜けなかっただけ。尻ポッケから携帯を。
彼らは動き続けている者には寛容です。 それまで静止し続けていた者にも同様ですだ。
察するに、それまでと異なる行動をとり始めた者に対しては容赦なく意識を向けますだな。

ちょっと想像してみて下さいょ。 バッタリと2〜3mの至近距離で出くわしちゃった、
そんな時をです。

さよう。 西部開拓時代の酒場の前で、まさに一触即発な場面をご想像戴くのも効果的かもしれませぬ。 ただひたすらに渇いた時間だけが流れているような緊迫感を。

 (・・・先に抜いてみやがれってんだ。ケッ!)

 ダン! ダーン!

片っぽが地面に倒れててぇ、もう片っぽは馬に跨って消えてくんでした。
で、何のお話でしたっけ?

とまあ、そんな風に条件が悪ければ撮影はあきらめ、身動きせずにただじっくりと観察させてもらっていたのが これまでのいきさつです。   ・・・長生きはするもんですょ、えぇ。

画像は そんな新たな友による マクロ&ズーム双方での撮影にてお届け致しますた。

P.S.3

さて。 持て余しているNikonの方は どーしましょ。

スタイリッシュでリーズナブル、発売当時のテレビCMではキムタクを起用。 そこそこに機能も充実していてか2016モデルながら今だに売れ筋1らしい。(※某・amazonより情報を拝借)

そんな感じのNikonとか、もらいたい ひとぉ〜?   …いないわなぁ。
そもそもの閲覧者さんがその、ほとんど(汗

けど散文気分はですねぇ、羽振りは悪いけれど気前はいいんですょ、昔っから。 えぇ。
ウィキペディアの頁ぢゃ注釈のトコなんかにも、ちゃ〜んと書いてありますから。 はい。

4.Jun.2019 藤沢市・引地川に架かる石川橋付近にて

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