【散文気分】 - 2019/5/4 Sat -

遠くから旅してきたわけでもないが。
その街に電車で初めて降り立っただけの者に共通する、そんな感覚はあったように思う。

途中で快速急行から各停に乗り換えてひと駅。そんな駅前のロータリーには花壇と少しの樹木が立ち並んでいて、ちょうど真っ白なコブシの花が満開だった。 整然とした花壇のチューリップは蕾がまだまだ堅いようだ。少し外れた辺りで雑草のように湧き立つ菜花が満開で、目を細めると明るい黄色と緑が境目のない 雲のように感じられた。老眼は徐々に進んで近くのものを見るのに難儀しているが、こんな光景を眺めることに関しては不自由を感じない。 人通りはまばらであるが時々学生たちの集団がコンビニの前に集っていたりただ通り過ぎてゆく。そんな学生たちが通う 大学のキャンパスは線路の反対側にあった。やや急な斜面に広がるのは住宅街のみで駅前には最近閉店したばかりと思われる コンビニの跡に『テナント募集』の貼り紙がなされている。その2階はアパートのような造りだ。

駅の階段を降りてそんな風に辺りを見回していたのには訳がある。そうは言っても何のことはなく、ただ喫煙所を探していた だけなのだ。ぼおっとコブシや菜花に見とれるているだけで喫煙所を見つけることも人に尋ねることもせず、近くのコンビニ脇に 設置されている灰皿のところまで歩いて行った。ちょうど学生たちのグループがそこを離れていくところだったが、 灰皿は20数年来で携帯しているので少し離れた場所で吸い始めていた。一体なぜ灰皿などを持ち歩くようになったのだろう。 幼少の頃、もちろん大人たちのそうする様を見ていて普通に思っていたことだが、駅のホームでは電車を待つ間に工場の煙突でも 立ち並んでいるかのように白い煙が湧き上がっていた。そして目的の電車がホームに滑り込んで来ると吸い殻は電車とホームの隙間に 投げ込まれていた。ホームの前の線路とは灰皿でもあったのだ。色々なことが変わり、自分自身でも20数年来で灰皿を持ち歩いていることを思う。

昼を食べるにはまだほんの少し早い時間だった。歓楽街ならば既に賑やかなランチタイムなのだろうか。見渡す限り銀行と信金とドラッグストア しか見当たらない駅前では食いっぱぐれそうなので煙草を消して灰皿に放り込む。当てはないが歩くしかないようだ。まずロータリーから 国道の方向に向かうと中規模のスーパーがあった。車だけでなく自転車で買い物に訪れている人も多い。店の前のベンチにたたずむ 年配者もいる。そのスーパーに立ち入らなかったのは、右手前方に古いたたずまいの複合店舗のような造りの店があるのに気付いていたからだ。 精肉店と、野菜や雑貨も手掛ける酒店のようだった。その先、国道までの間にはパチンコ店と交差点の向こう側にファミレスが見えている。 精肉店のガラス・ショウケース上にあるカウンターには暖簾のように手書きされた黄色いメニュー札が多数ぶら下がっている。さっき見た学生たちが ぽつりぽつりと揚げ物類を買って食べ歩いているのだろうと想像した。スーパーの前から道路を横断してその精肉店を覗いてみた。 すぐに愛想のいいお母さんが声をかけてくる。ちょっと奥でお父さんが肉をスライスするのに忙しくしている。

1個から売る『ポテトフライ』を5個と『ハムカツ』を1枚、イカを何かのタレに漬け込んでから串に刺して揚げた物を2本で合計 210円だった。ポテトフライは注文が入ってから丸のジャガイモを刻んでいた。揚げ上がりを待つ間に隣の野菜コーナー… とはいえ体裁は八百屋そのものだったが、会計はすべて酒屋が一括して行っている。そんな野菜類を眺めて回った。いくつか 衝動的に購入してしまいたくなる品物もあったが、このあとの行動のことを考え止めておいた。しかし今日は仕事ではない。 続きの酒屋スペースに移動して妙に安い缶酎ハイを1本買う。精肉店に戻りかけるとちょうど揚げ上がったのかお母さんが笑顔でこちらを見て手を振っている。 210円の会計を済ませて間口が空いたままの白い紙袋を受け取り、『いただきます』と言ってカウンターに備えられていたカップから 串を1本拝借した。

パチンコ店との間の道を曲がり今いた複合店舗の脇に回ってみると寂れたアーケードのような屋根があり、飲料や煙草の自販機が5〜6台ほど 並んでいる。配達用と思われる軽自動車が横付けしてあり、車と自販機の間にはコカコーラの赤いベンチが3つとその奥には粗末だが大きなテーブルまでが 設置されていた。学生たちばかりではなくどうやらパチンコ店の客らも利用している憩いのスペースらしい。あたかも当然のように 灰皿が複数設置されている。空き缶だけではなく一般ゴミのゴミ箱までがある。コンビニのゴミ箱では無法地帯のような捨てられ方を しているのをしばしば目にするが、どうやらここは昔の駅ホームの線路であって、例えるなら『吸い殻しか捨てられない』という 約束ごとが暗にその平衡感を保っているのかもしれない。

家族の居ぬ間にジャガイモを刻んで揚げ、キッチンに立ったままそれらを頬張る主婦のたしなみというのがあれば、 そんな感じだろうか。素直に美味いポテトフライだった。でも真っ当に美味いとまでは思えなかったのは衣にどこか媚びたような 味付けがなされていたからかもしれない。色んな都合があるものだなと勝手に可笑しくなった。

あれこれ考えながら独り飲み食いする間に一軒隔てた隣にも店があることに気付いていた。ぽつりぽつりと客らしい人々が立ち寄るのだが 店内に入る者もいれば立ち去ってゆく者もいる。店先でしばらくたたずんでいる者は順番待ちとも思えるように整然と過ごしている。 そうではないのが判るのは特に行列ができるでもないのにやがて立ち去ってゆくからだ。そうした手続きごとを経て待ち続けている人は 誰もいなかった。普通に考えて少し敷居の高い(頑固な)ラーメン屋なのだろうと思い至る。そしてすぐに意識から外れてしまい、 美味いイカのフライにかぶり付いては串から引き抜き、むさぼり食べた。

実際その店の前に立つとラーメン屋ではないことがすぐ判る。出入り口の横に掲げられた黒板には定食のお品書きがあるからだ。 品目ごとの価格表記はなく右下の隅に『全品800円』とある。しかし際立って目立つのはメニュー表の冒頭に大きくある 『余所者の方々に限らせて戴きます』という但し書きだろう。面倒、胡散臭い、昼くらい気兼ねなく静かに済ませたいなどと 思いは巡るが、自分がこの店の客として【条件にかなっている】ことが少し安心でもあった。そう、私はこの街では余所者なのだ。 もちろん暖簾をくぐったことは言うまでもない。











4.May.2019 藤沢市・自宅2階の物干し場にて

私の住まう地域では昼下がりに雹(ヒョー)を伴うゲリラ雷雨がありました。

小一時間ほどで徐々に沈静化して元の静かな天候へと回復してゆきました。たかだか2cm程度の氷でも天空から落ちてくると凄いものですね。 屋根に穴が開くかと冷や冷やしました。

4.May.2019 藤沢市・自宅の門柱付近にて

サルスベリの新芽です。   いい天気だったな。 …朝は。

果たして 『外来軒』 とは どんなお店なのか。
美味いか不味いか、店主は偏屈か奥さんが美人なのかは、皆様のご想像に委ねまする。

ただ単にアンチ・【一見さんお断り】なお店があったらいいな という思い付きでしかありませぬ。 なぜそんな風に思うのかを問われたならば。 そんなの、断られてみれば解りますょ。

もはや偏屈が新たな偏屈を生む構図のようで。 復讐は何も生み出さない… みたいな?(汗

今朝方に撮影したばかりだったサルスベリの新芽は、午後の雹(ヒョー)を伴うゲリラ雷雨でズタズタにされていました。 でも大丈夫。すぐに新しいのが わしゃわしゃと出てきます。 ただ、画像の新芽はもはや無いというだけのことです。 理屈では解っているのですが。

近所のファミマでは停電してて真っ暗。冷蔵庫もストップ。会計は電卓叩いてメモしてました。

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