【散文気分】 - 2012/01/15 Sun -



◆事情・その@
30代後半辺りから妙に涙もろくなって来ている。

◆事情・そのA
私は元・”鉄ヲタ”(または ”鉄チャン”)であるコト。 主に ”撮り鉄” ですた。

◆事情・そのB
その作品は昨年夏に既存巻をまとめ買いしてまで読んでいた。
さらには その第1巻・第1話で既に涙してしまった。


毎週木曜日は 『週刊モーニング』 の発売日であります。 懇意にして戴いている女性から 彼女の購読する ”それ” を直接、または間接的に譲り受けて 私は読んでおります。 大変に遺憾ながら 『バガボンド』 は 相も変わらず長期休載中ではありますが、そのお話を持ち出すと脱線して長文となって皆様にウンザリとさせて しまうであろうとの懸念から、今回は自重します。

その月イチ連載の 『カレチ』 という作品については昨年夏にもコチラで触れたコトがありました。 そして 今回は巻頭カラーなのでした。 毎回毎回、冒頭の四角い囲みワクで 『昭和40年代後半…』 との触れ込みが 入ります。 そうして読者へ対して一度脳内設定を ”昭和40年代後半” 、”1970年代前半” へと移行を 促すワケですな。

このさまざまな列車で客室乗務員を担当する主人公を取り巻く人間模様を描く作品なのですが、実は ”仕事マンガ” であるといった側面もあります。 そのような観点から言えば昭和を知らぬ方々でも楽しめるのでは ないかと期待するのですが、さて どうでしょうか。

今週号のひとつのテーマは 『鉄拳指導』 にありました。 鉄拳制裁ではありませぬ。 要するに仕事中の 失態に於いては上役や親方やらが有無を言わさずに下っ端どもをぶっ飛ばす… といった ある種の 『教育方針』 (プリンシプル) でありますね。 ストーリー展開の都合からか補足的に主人公の上司役が 『昔はみんなそうだったんだ』 と説明する 場面があります。 だからみんな必死で仕事を覚えようとするし、そして何よりも 『それが ”一番早かった” のだ』 とも繋ぎ添えました。 そして 『自分はそうはせぬがな』 とも。

この辺りで私は感付いて微妙に目頭が熱くなり始めるのですが、何のことやらですよね? スミマセン。

山陰本線の過疎地域にある小さな駅が舞台でした。 そこで勤務するのは年配の駅長さん独りでした。 そこへ 主人公の後輩が本部採用のエリート候補であったにも関わらず その駅の助役として勤務する辞令を受けて たどり着くのですが。 もう最初っから解らぬコトだらけであり、先の駅長からは一言の口も利いてもらえないと いった始末なのでした。 そして そのような境遇にあっても新人は自ら機転を利かせた行動をとったなり、 先にも述べました 『鉄拳指導』 が入るワケなのです。

彼は途方に暮れて主人公に相談するのですが、残念ながらせっかく的確(?)なアドバイスを貰いながらも彼は逆に 主人公に対して反感を持ったまま勤務へと戻って行ってしまいます。 そしてある時に鉄道規約に反する行動を 駅長が常日頃から行っていることに気付いて、日頃の反感から所轄の本部へ訴え出てやろうなどと思い立った 矢先の出来事でした。

それは吹雪の夜であり、偶然にも先輩(主人公)が乗務する急行 『だいせん2号』 がその駅で運転停車します。 …あ、 運転停車というのは単線区間などで上下線の列車同士のすれ違いのためであるとか、機関士の乗務交代のためで あるとかといった いわゆる列車運行に根ざした停車のコトでありまして、時刻表にはその停車は記載されて おりませぬ。

その夜のあまりの積雪の多さに対応する必要性から 後続の除雪機関車を ”先行させる” 為の運転停車なのでした。  ここで少々その時代背景に根ざした説明が必要なのですが、信号は伝送系でシステム化された電灯式信号機ではありません ですし、ポイント切り替えも手動で行うのです。 ある予感から主人公は信号機だけで肝心のポイントが切り替わっては いないコトに気付きます。 そのままでは後続の除雪機関車が 『だいせん2号』 に衝突してしまうのです。  あわてて駅助役の後輩を呼び、信号とポイント切り替えをいつも必ず自らの手で行い続けて助役には何も させなかった 『駅長』 の所在を問いただすのですが、後輩は疲れた顔をして 『きっとポイントが凍結して いつも通り大きなヤカンを抱えて飛んで行ったのでしょう…』 と聞くやいなや、主人公は後輩を引き連れて やがて除雪機関車がやってくるハズのポイント付近へと急ぎます。 しかし猛烈な吹雪で視界はゼロに近い状況なのでした。

すると途中で駅長が倒れておりました。 しかしそれにも増して除雪機関車が迫ってきております。 衝突すれば 間違い無く大事故・大惨事となります。 仕方なくも駅長の横を素通りして 彼らは体を張って除雪機関車の運転手にあてて合図を送り続けるのですが、先ほども申した通りにひどい吹雪で 視界か利かずに除雪機関車の運転手には通じません。 やはりダメなのかと諦め掛けたその時に、除雪機関車の 運転手は突然に急停止の操作をするのでした。

緊急停止信号装置を機関車の車輪が踏んだのを確認したからなのです。 そう。 助役の彼が気付いていた ”規則に反する” 駅長の日頃の行いとは、持病の心臓を意識して いつ心臓発作で自分が倒れるかわからぬ故の(違反)行動でも あったのです。 そして除雪機関車はポイントの手前で無事に停車して 『だいせん2号』 と衝突するコトには なりませんでした。 駅長はまず緊急停止信号装置をポイント前方に仕掛けてから、凍結して稼動しないポイント 装置の要所に熱湯をかけて処置しようとした矢先に発作を起こして倒れてしまったのですね。

場面が変わって駅長の葬儀シーンにて主人公と、茫然自失した後輩の助役が静かに語り合います。 後輩は 短い間であったながらも これまで解らなかった駅長の行動や自分に対する 『鉄拳指導』 に関する事柄などを 振り返っては、今ならばその理由が何故か色々と解るのだと、ぽつりぽつりと重たい口を開いてゆくのでした。

駅長には時間が無かったのですな。 そして 『それが ”一番早い” のだ』 といった教育方針をとる必然があったのですな。  そして何よりも最後まで自分の職責を全うし続けた結果、極めて危険な事態にも対応し得たうえで亡くなって しまわれたのですな。 そのような仕事魂を見せ付けられてしまっては、休憩時間に地下1階のコーヒーショップで読みながら 号泣せざるを得ないではありませぬか。 ちゃいますか?

残念ながら伝わりませんでしたかねぇ。 ならば直に読んで戴くか、時代背景やその時代の鉄道の諸事情などを 踏まえ直して戴くしかないのでしょうか。 冒頭にて ”仕事マンガ” であると仕掛けた伏線は通用しなかったのかぁ… コレでは 後続の除雪機関車が急行 『だいせん2号』 に衝突してしまうではないか。   まだまだ、なのだな。 うむ。








At Soshigaya-Ohkura -8.January.2012-



この近辺からの夕暮れを眺めると やはり古本屋時代を思い返してしまいますわぃ。
果たして同じようなコトなどをあと数年後には五反田や武蔵小山辺りについても つぶやいたりするのでしょうか。  確かに職場ビルの屋上からはかなりの枚数の夕暮れ風景を撮りますたからなぁ。

 (-”−;)うぅぅむ…





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