【散文気分】 - 2011/04/28 Thu -


そういったモノは キチンと鍵締めて しまっとけ… そう言われてしまいそうな思い出が、何故か湧き上が って来る夜などがあります。 そして そんな夜には、オトコは黙って酒を飲まねばならないのであります…

確かに難しい局面ではありますよ。 ずっと忘れていた、または思い出しもせずに来てしまっていた事柄 に対して、それらを 第三者にお話しするコトが 果たして適当なコトなのかどうか。

ただし、例えば “今“ のココロで説明したいコトが あったのだと仮定して、たまたま思い出すに至って しまっていた その事柄には、その時の(今の)思案・思考のうえにおいては 間違いなく 何らかのリンク が張られておったのでしょうとも。 そう考えて 差し支えナイ範囲にアルと思い至りました。 そして それらを明かすのかどうかは また別の問題なのだとの認識もアルつもりなのです。



22も そろそろ終盤に差し掛かろうか といった まだ肌寒い春先に、新宿は伊勢丹にて連れ合いと ウィンドウ・ショッピングなどをしておりました。 その前後の行動までは思い出せませぬ。 まずは 新宿・伊勢丹の広さと 各フロアに並ぶショップの多さに目が回りつつ、先陣を切って歩く連れ合いの後 に付いて歩くのが 精一杯なのでありました。 そして その途中では、普通にブランド物のショップが 並ぶ フロアの片隅にある ティー・ルームにて、ひと休みした記憶なども 同時に掘り起こしました。

決して急ぎ足でもナイのですが、連れ合いの後ろをついて歩く その感触は、幼い頃に母親に連れられて 買い物して歩いていた時の、『ねぇ、まぁだぁ〜?』 …といった感覚をも蘇らせるのでした。 そのような さ中で 某・国内メーカーのセカンド・ブランド的な、まだ立ち上げ間もないような あるショップの片隅で、 連れ合いがポツリと吐き出すのでありますよ。 『…あ、コレ素敵だなぁ。』と。

何故か そのコトだけが その日の出来事の中で 妙に印象に残りまして、後日 その時の記憶を頼りに 様々 な店舗を 単身で歩き回るのですが、どれもコレも微妙に、しかし明らかに違って見えるのですね、大変に 不思議なコトに… なのです。

さらに数日後、遂には観念して 再び新宿へと繰り出し、それでも直接に”伊勢丹”は目指さずに デパート 巡りを順に繰り返すウチに、ズバリ同じ商品を見つけたのでありました。 そして その興奮が やや冷めて からなのか、もっと後になってから気付いたのか までは忘れてしまいましたが、そこはあの伊勢丹で立ち 寄った ショップと同じブランドであったようなのでした。

さんざん迷った挙句に店員さんに話し掛け、連れ合いの誕生日にプレゼントしたいのだが 女性向けの サイズも何も判らぬ… 旨の相談ごとなどを経過してから やっとの思いで購入を決めて、当時の私の 懐具合からは とても見当違いな代金を支払って、持ち歩くのも少々はばかられる大きくキレイな手提げ袋 の中に、ラッピングされたそれを入れて貰って持ち帰ったのでした。 さらに正確に言えば そのまま立川 のバイト先へと直行したのですが、バイト先の控え室で その置き場に困惑した記憶があります。

そして数週間後の ひな祭りの夜、街中で連れ合いの誕生日を二人で祝い、そのまま私の部屋へと一緒に 戻ってから ちょっとゆっくりとして、くつろいだところで“それ“の入った紙袋を差し出しました。

連れ合いは やはり嬉しそうに 少し高揚しながらも、ゆっくりとラッピングされた包みをといてゆきます。  そして最後に化粧箱のフタを開いた… その途端にです。 すかさず両手で自分の顔を覆い隠してから 『どうして…』 と 小さく叫ぶと、涙がぽろぽろと 両手の隙間から流れ落ちるのでした。

私は ただただ その状況に驚くばかりなのであり、連れ合いが落ち着いて顔を上げられるように なるまで の間、 じっとそれを待ち続けておりました。



思い出は別れとともに色褪せてしまうモノだ… との、物事への見方があります。 まぁ解らなくもあり ません。 しかし その当時の健気で一生懸命なココロであったコトまでをも 否定して葬り去ってしまう のは… 恐らくは、別れからも また元気に生きてゆくうえでの一時凌ぎ的な所作なのかもしれませんよね。

しかし どんなに意識的に忘れようとしたとして、そして実際に長い年月の間をホントに忘れていたの だったとしてでも、”本物” の色彩とは かようなまでに鮮やかに蘇って来るモノなのかもしれません。  そして それらは間違いなく、かつての自分の生身のココロ そのものなのですから。

そのような、思いもかけずに大そうな発掘事に至ってしまった”しるし”のようなモノを ココに残して みようか などと、そのように思い浸りながら 独り酒しておりました。








At Musashi-Koyama -28.Apr.2011-



かかり付けの病院で待ち時間の間に絵本を1冊読んだのですょ。 それは『しあわせな王子』であります。  ツバメさんが南の方へ帰りそびれて 銅像の王子の”お願い事”を聴いているウチに冬が来て、身ぐるみ 剥がされた王子とともに逝ってしまう… といった切ないお話ですね。 けれど その最後には ちゃんと 救いがアルので、まだ存じ上げない方々も安心してお読み戴けるのではないかと思う次第なのであります。

なぜか子供の頃から好きだった海外文学を挙げると、『しあわせな王子』とか、『賢者の贈り物』などと いった、ちょっと切ない系の短い作品が出て来ちまいます。 逆にあまりナイのがファンタジー系。

たそがれた幼年期を過ごしておったコトであるなぁ… などと思いふけった、待ち時間なのでした。









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